正社員からパートへ働き方を変える際、
収入が減っても生活できるのかは大きな不安でした。
気になっていたのは、
毎月の生活費を払えるかだけではありません。
退職金をあまり期待できない働き方を選んだあとも、
老後に向けた資産形成を続けられるのか。
病気や車の故障など、
急な支出が発生しても対応できるのか。
私は、正社員として働きながら転職準備を進めていたため、
専門家が作るような完璧な計画を立てられたわけではありません。
自分なりに情報を集め、
最低限の生活費を実際に確かめたり、
通常の支出と臨時の支出を分けたり、
必要な勤務日数を計算したりしました。
この記事では、
私がパート勤務を選ぶ前に確認したことと、
数年間実際に暮らして分かったことを整理します。
私が正社員を離れてパート勤務を選んだ理由は、「正社員を離れ、薬剤師のパート勤務を選んだ理由」で整理しています。
個人や職場が特定されないよう、
時期や状況の細部は一部ぼかし、
内容の趣旨を損なわない範囲で再構成しています。
パートを選ぶ前に、最低限必要な生活費を試した
最初に確認したのは、
収入が減った場合でも生活を維持できる金額です。
転職前に数か月、
本当に必要な支出だけに絞った生活を続けました。
その結果、私の場合は、
月13万円ほどあれば最低限の生活を維持できると分かりました。
ただし、この金額には次のような支出を含めていません。
- 娯楽
- 旅行
- 家電の買い替え
- 大きな臨時支出
衣服は、仕事用と私生活用を細かく分けず、
手持ちのものを兼用していました。
交際費も、もともと月数千円ほどです。
そのため、月13万円は、
長期間満足して暮らすための通常生活費ではありません。
収入が一時的に減っても、
生活を維持できる最低ラインとして使いました。
通常の生活費と、毎月は発生しない支出を分けた
最低生活費だけでは、
長期的な家計計画は作れません。
税金や車の維持費、家電の買い替えなど、
毎月は発生しなくても、
いずれ必要になる支出があるからです。
私は実際の支出に近い数字をもとに、
年間の生活費を約180万円と見積もりました。
さらに、ガソリン代を除く車の維持費として、
年間約20万円を見込みました。
なお、ガソリン代は通常の生活費に含めています。
年間の支出は、合計で約200万円です。
一方、パート勤務による手取りは、
年間約250万円になると見積もっていました。
差し引くと、年間で約50万円、
月平均では約4万円が残る計算です。
車については、
12年程度を買い替え準備の目安とし、
年間の余力から費用を確保する想定でした。
一定のガソリン車などは、
初回登録から13年を超えると、
自動車税の負担が重くなる場合があります。
また、軽自動車を除く乗用車の平均使用年数は13年を超えているため、
10年以上乗ること自体は珍しくありません。[1][2]
ただし、税金が上がるという理由だけで、
買い替えた方が得になるとは限りません。
12年はあくまで、買い替えの準備を進める目安です。
実際の時期は、車の状態や修理費を見て判断するつもりでした。
退職金を期待せず、老後資金から積立額を逆算した
パート勤務で特に不安だったのは、資産形成です。
退職金をあまり期待できないのであれば、
現役時代から自分で老後資金を準備する必要があります。
2019年には、
金融庁の報告書をきっかけに「老後2,000万円問題」が大きく話題になりました。
報告書では、
当時の高齢夫婦無職世帯の平均収支をもとに、
毎月の不足が続いた場合、20年で約1,300万円、
30年で約2,000万円になるという試算が示されています。
ただし、実際に必要な金額は、
年金、住居、生活費、家族構成などによって大きく異なります。[3]
私は、資産運用のシミュレーションを使い、
次の条件で必要な積立額を計算しました。
- 初期投資額:0円
- 想定運用利回り:年4%
- 積立期間:30年
- 目標資産額:2,000万円~2,500万円
この条件では、
2,000万円を目指す場合は月約2万9,000円、
2,500万円の場合は月約3万6,000円という結果でした。
そこで、毎月3万円、できれば3万5,000円を
積み立てることを目標にしました。
これは、将来の運用結果を約束する数字ではありません。
想定利回りによって必要な積立額は変わり、
投資には元本割れの可能性もあります。
シミュレーションは、あくまで計画を作るための目安です。[4]
すぐに使う現金と、長期で運用するお金を分けた
資産形成を優先しても、
手元の現金をすべて投資に回すわけにはいきません。
転職後の生活変化や急な支出に備えるため、
私は生活費の3か月分以上を現金で確保しました。
それを超える資金は、
値動きのある投資商品で運用していました。
役割は、次のように分けていました。
- 現金:急な支出にすぐ使うお金
- 運用資産:長期的に増やすことを目指すお金
- 毎月の積立:老後に向けて新しく積み上げるお金
運用資産は、
必要なときに値下がりしている可能性があります。
そのため、
現金と同じ安全性のお金としては考えていません。
現金が生活費の3か月分を下回りそうな場合は、
運用資産に利益が出ているときに限り、
一部を現金化して補充する想定でした。
生活と積立が成立する勤務日数を計算した
働き方は、正社員かパートかの二択ではありません。
パートの中でも、週3日、週4日、週4.5日など、
勤務量を調整できます。
当時確認した求人条件をもとに、
週3~4日程度の勤務を想定しました。
週4日前後働けば、
年収は300万円台になる見通しでした。
この水準なら、次の3つが成立すると考えました。
- 年間約200万円の支出
- 毎月3万円前後の資産形成
- 少額の予備費
週3日程度は、
社会保険に加入できる勤務時間を確保する最低ラインとして考えました。
週4日程度は、
生活費と資産形成を両立するための勤務ラインです。
ただし、
社会保険は
「週20時間働けば、どの職場でも必ず加入できる」
という単純な制度ではありません。
社会保険への加入条件は、
勤務先の適用状況や所定労働時間など、
複数の条件によって決まります。
私は、社会保険に加入できることを職場選びの条件にしました。
制度は変更される可能性があるため、
実際に検討するときは、
日本年金機構などの最新情報を確認する必要があります。[5]
もし想定した勤務量で資産形成まで両立できなければ、
働く日数を少し増やすことも考えていたと思います。
私の場合、資産形成の条件が整ったから、
パートを選んだのではありません。
働き方の方針を変えることを先に決め、
その中で生活が成立する勤務量を調整しました。
必要な収入は、
住居費や扶養する家族の有無などによっても変わります。
私の計算が、
そのまま誰にでも当てはまるわけではありません。
実際に数年間続けても、計画はおおむね成立している
パート勤務を始めた当初は、
今より勤務日数が少なめでした。
現在は当初想定していた範囲の勤務量に落ち着いています。
現在も、
毎月3万円前後の積み立てを続けられています。
数年間生活してみて、
事前の計算から大きく外れた支出も、
今のところありません。
パート勤務で増えた時間は、
単に仕事をしない時間になったわけではありません。
- 掃除や整理
- 料理
- 睡眠
- 運動やダイエット
- 趣味
- 平日の買い物
- 友人と出かける時間
などに使っています。
お気に入りの家具やインテリアがあり、
空調が整い、掃除と整理が行き届いた部屋。
自宅をこうした快適な空間にして、
コーヒーを飲みながらくつろぐ時間は、
私にとって大きな満足につながっています。
料理は生活を整えるだけでなく、
節約にもつながりました。
収入は、多いに越したことはありません。
週5日働いても心身の余力を保てる人なら、
より多く働くことで、
経済的な選択肢は広がります。
私の場合は、収入を最大化することより、
生活と資産形成を続けながら、
心身や時間を守れる勤務量を選びました。
今振り返ると、確認しておけばよかったこともある
転職した当時、
すべてを確認できていたわけではありません。
特に、雇用保険や病気で働けなくなった場合の給付は、
もう少し調べておくべきでした。
雇用保険は、
原則として週の所定労働時間が20時間以上で、
31日以上の雇用見込みがある場合に加入対象となります。[6]
また、健康保険の被保険者が業務外の病気やけがで働けず、
一定の条件を満たした場合には、
傷病手当金を受けられる可能性があります。[7]
私は、薬剤師資格が再就職への不安を軽くしていたため、
失業時の保障を深く確認していませんでした。
今なら、次の項目も確認します。
- 雇用保険への加入
- 傷病時に利用できる給付
- 契約期間と更新条件
- 前年所得をもとに課税される住民税
- 車の買い替え費用
- 将来の年金見込額
住民税の所得割は、原則として前年の所得をもとに計算されます。[8]
正社員からパートへ変わって収入が減っても、
直後は以前の所得をもとにした負担が残る可能性があります。
車の買い替え費用は、
医療費などと同じ年間余力から出す想定でした。
今振り返れば、用途ごとに分けて管理した方が、
より安定した計画になったと思います。
完璧な計画を作ってから動いたわけではありませんが、
生活が成立する最低条件と、
資産形成を続けられる見通しは確認していました。
実際に暮らして分かったことを使い、
計画を更新していくことで、
生活を安定させやすくなるのだと思います。
まとめ
私がパート勤務を選ぶ前に確認したのは、主に次のことです。
- 最低限必要な生活費
- 通常の年間支出
- 車や家電などの臨時支出
- 老後に向けて積み立てたい金額
- すぐ使える現金
- 必要な勤務日数
- 社会保険への加入
最低生活費は、実際に数か月試して確認しました。
通常の支出と車の維持費を合わせて年間約200万円、
手取りを約250万円と見積もり、
毎月3万円前後を資産形成に回せるかを計算しました。
パート勤務を基本にしながら、
生活に必要な収入を得られるように勤務日数を調整する。
生活を整えながら、
自分の時間も守りたい私にとっては、
その考え方が一番現実的でした。
働き方を変えるときは、
収入がいくら減るかだけでなく、
自分の生活には、いくら必要なのか。
将来のために、いくら残したいのか。
そのためには、どのくらい働けばよいのか。
この3つを分けて考えると、
自分に合う働き方が見えやすくなると思います。
実際にパート勤務を続けてみて分かったことは、別の記事「薬剤師がパート勤務になって分かったこと|自由は増えたけれど、想定外もあった」で整理しています。
参考資料
[1]神奈川県「自動車税のグリーン化税制について」
[2]自動車検査登録情報協会「平均使用年数」
[3]金融庁 金融審議会「高齢社会における資産形成・管理」
[4]アセットマネジメントOne「資産運用かんたんシミュレーション」
[5]日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
[6]厚生労働省「Q&A~事業主の皆様へ~(Q1 雇用保険の加入の要件)」
[7]全国健康保険協会「傷病手当金|給付と手続き」
[8]名古屋市「市民税・県民税と所得税のちがい」
