パート薬剤師は社会保険に入れる?加入条件と週3日・週24時間で加入した実例

パートが社会保険の加入対象か確認するフローチャート

パート薬剤師が勤務先の健康保険・厚生年金保険の加入対象になるか、
まずは下のフローチャートで確認してみてください。

パート薬剤師が社会保険の加入対象か確認するフローチャート(2026年8月時点)

この記事では、
勤務先で加入する健康保険と厚生年金保険をまとめて「社会保険」と表記します。
社会保険という言葉に雇用保険や労災保険を含める場合もありますが、
この記事では扱いません。

加入条件や今後の制度変更については、
2026年8月時点で日本年金機構と厚生労働省が公開している情報をもとにしています。

パート薬剤師が社会保険に加入する2つのルート

パートが勤務先の健康保険と厚生年金保険に加入するルートは、
大きく分けて次の2つです。

  1. 通常の労働者の4分の3以上働く
  2. 4分の3未満でも、短時間労働者としての加入条件を満たす

加入条件を満たした場合は、
本人の希望で加入するかどうかを選ぶのではなく、
原則として加入対象になります。

1.通常の労働者の4分の3以上働く場合

1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数の両方が、
同じ事業所で働く通常の労働者の4分の3以上であれば、
原則として社会保険の加入対象になります。

たとえば、
通常の労働者が週40時間・月20日働く職場では、
次の両方を満たすか確認します。

  • 週の所定労働時間が30時間以上
  • 1か月の所定労働日数が15日以上

週の所定労働時間だけでなく、
1か月の所定労働日数も4分の3以上であることが必要です。

この基準を満たす場合は、
勤務先の厚生年金保険の被保険者数が51人以上かどうかにかかわらず、
勤務先が適用事業所であれば原則として加入対象になります。

4分の3基準については、
日本年金機構の「パートタイマーとして勤務しています。社会保険に加入する義務はありますか。」で確認できます。

2.4分の3未満でも短時間労働者の条件を満たす場合

1週間の所定労働時間または1か月の所定労働日数が、
通常の労働者の4分の3未満でも、
本人側と勤務先側の条件を満たせば、
短時間労働者として社会保険の加入対象になります。

2026年8月時点では、以下の点について確認する必要があります。

  • 週の所定労働時間
  • 賃金
  • 学生かどうか
  • 雇用期間の見込み
  • 勤務先の状況

短時間労働者として本人側で確認する4つの条件

週の所定労働時間が20時間以上

ここでいう所定労働時間とは、
就業規則や雇用契約書などで、
通常の週に働くことになっている時間です。
残業時間は原則として含みません。

勤務時間が月単位で定められている場合は、
1か月の所定労働時間を週単位に換算して判断します。

契約上は週20時間未満でも、
実際の労働時間が2か月連続で週20時間以上となり、
その状態が今後も続くと見込まれる場合は、
3か月目の初日から加入対象になることがあります。

所定内賃金が月額8万8,000円以上

2026年8月時点では、
所定内賃金が月額8万8,000円以上であることも条件です。

基本給や対象となる諸手当を月額に換算して判断します。
ただし、
次のような賃金は原則として算入されません。

  • 賞与など、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
  • 残業代、休日労働や深夜労働の割増賃金
  • 通勤手当
  • 家族手当
  • 精皆勤手当
  • 臨時に支払われる賃金

なお、
この月額8万8,000円以上という賃金要件は、
2026年10月に撤廃される予定です。

学生ではない

原則として、
学生は短時間労働者としての加入対象から除かれます。

ただし、
休学中の人、
夜間や定時制の課程に通う人、
卒業前から就職して卒業後も同じ事業所で働く予定の人など、
学生でも加入対象になる例外があります。

2か月を超えて働く見込みがある

2か月を超えて雇用される見込みがあることも確認します。

契約期間が2か月以内でも、
雇用契約書に更新される可能性が記載されている場合や、
同じ条件で働いていた人の契約更新実績がある場合などは、
契約当初から加入対象になることがあります。

短時間労働者の詳しい条件は、
日本年金機構の「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」と、
厚生労働省の「社会保険加入の要件」で確認できます。

勤務先について確認する条件

本人側の条件だけでは加入可否を確定できません。
予定している勤務条件で加入対象になるかは、
勤務先に確認してください。

社会保険の加入条件は今後どう変わるか

短時間労働者への社会保険の適用範囲は、
今後段階的に拡大される予定です。

以下は、
2025年6月に成立した改正法に基づく、
今後施行予定の変更です。

時期主な変更
2026年10月所定内賃金が月額8万8,000円以上という要件を撤廃予定
2027年10月企業規模の基準を51人以上から36人以上へ拡大
2029年10月企業規模の基準を21人以上へ拡大
2029年10月常時5人以上を使用する個人事業所について、現在は対象外の業種も適用対象へ。ただし、今回の改正で新たに対象となる事業所のうち、施行時点ですでに存在する事業所は、当分の間、対象外
2032年10月企業規模の基準を11人以上へ拡大
2035年10月企業規模要件を撤廃予定

企業規模要件が段階的に撤廃されると、
現在は対象外となっている小規模な勤務先でも、
週20時間以上働くパートが加入対象になる可能性があります。

一方で、
週の所定労働時間や学生に関する条件まで、
すべて撤廃されるわけではありません。

今後の変更については、
厚生労働省の「社会保険の加入対象の拡大について」で確認できます。

私は週3日・週24時間で社会保険に加入した

私の場合は、
週3日・1日8時間、週24時間という勤務条件で、
入職時から勤務先の健康保険と厚生年金保険に加入しました。

当時の条件を、
短時間労働者としての確認事項に当てはめると、
次のようになります。

  • 週の所定労働時間は24時間
  • 所定内賃金は月額8万8,000円以上
  • 学生ではない
  • 2か月を超えて働く見込みがある
  • 勤務先に、週3日・週24時間で加入対象になることを確認した

社会保険への加入を求人選びの必須条件にした理由

私は、
正社員からパートへ働き方を変えるとき、
勤務日数を減らして生活に余白を作りたいと考えていました。

一方で、
勤務日数を減らすために、
社会保険から外れることまでは望んでいませんでした。

勤務先の健康保険と厚生年金保険には、
保険料を事業主と分担できることに加えて、
傷病手当金や厚生年金などの保障があります。

そのため、
求人を選ぶ段階から、
週3日勤務と社会保険への加入を両立できることを必須条件にしました。

関連記事:パート薬剤師の週3勤務と週4勤務。1日の差は思ったより大きかった

面接と入職前の書面で確認した流れ

私の場合は、応募前に、
予定している勤務条件でも社会保険に加入できるという情報を得ていました。
ただし、
その情報だけで判断したわけではありません。

面接では、
週3日・1日8時間で働くことを伝えたうえで、
入職時から健康保険と厚生年金保険の加入対象になるか確認しました。

採用が決まったあとには、労働条件通知書などの書面でも、勤務日数、勤務時間、雇用期間、社会保険の加入について確認しました。

口頭で「社会保険には入れます」と聞くだけでは、想定している勤務条件まで正しく伝わっているとは限りません。

勤務日数と勤務時間を具体的に伝え、面接時と入職前の書面の両方で確認しておくと、認識のずれを防ぎやすくなります。

関連記事:薬剤師の職場選びは成功した。それでも転職エージェントに相談しておけばよかった。

社会保険と国保・国民年金の負担をモデル比較

社会保険の加入を考えるときは、
給与から引かれる保険料だけを見るのではなく、
社会保険に加入しなかった場合の国民健康保険料と国民年金保険料も含めて比較する必要があります。

ここでは、次の条件で大まかに試算します。

  • 比較期間は2026年度
  • 月収20万円、年収240万円
  • 賞与なし
  • 40歳未満
  • 扶養家族なし
  • 社会保険は標準報酬月額20万円として計算
  • 健康保険料率は2026年4月時点の協会けんぽ全国平均を使用
  • 社会保険と国民健康保険のいずれも、子ども・子育て支援金を含む
  • 国民健康保険料は、前年も給与収入240万円、軽減なしで、年額19万800円(月額換算1万5,900円)となるケースを仮定
  • 雇用保険料、所得税、住民税は比較に含めない
項目勤務先の社会保険国保・国民年金
健康保険または国民健康保険約10,130円約15,900円
厚生年金または国民年金約18,300円17,920円
1か月の合計約28,430円約33,820円
1年間の合計約341,160円約405,840円

このモデルでは、
勤務先の社会保険に加入した場合のほうが、
本人が負担する保険料は月約5,390円、
年間では約6万4,680円少なくなります。

約5,390円を丸めると、
月約5,400円の差です。

ただし、
社会保険の健康保険料率は都道府県や加入する健康保険組合によって異なります。
国民健康保険料も、
前年の所得、自治体、世帯構成などによって大きく変わります。

そのため、
「社会保険のほうが必ず月5,400円安い」という意味ではありません。
あくまで、一つの条件にそろえたモデル比較です。

この前提では、
国民健康保険料の月額換算額が1万510円を超えると、
保険料だけを比べれば、
勤務先の社会保険に加入した場合のほうが本人負担は少なくなります。

実際の社会保険加入後の手取り額は、
厚生労働省の「手取り額の変化について」で試算できます。
国民健康保険料は、
お住まいの市区町村の公式サイトで試算ページを探し、
見つからない場合は国民健康保険の窓口へ確認してください。

なお、
2026年度の国民年金保険料は月額1万7,920円です
(日本年金機構「国民年金保険料」より)。

保険料以外にも保障の違いがある

勤務先の社会保険と国保・国民年金には、
保険料以外にも違いがあります。

項目勤務先の健康保険・厚生年金国民健康保険・国民年金
保険料の負担事業主と本人が原則として折半事業主負担はない
老後の年金老齢基礎年金に老齢厚生年金が上乗せ老齢基礎年金
病気やけがで働けないとき条件を満たせば傷病手当金自治体の国保では原則として傷病手当金なし
出産で仕事を休むとき条件を満たせば出産手当金自治体の国保では原則として出産手当金なし
障害への保障1・2級では障害基礎年金に障害厚生年金が上乗せされる場合があり、3級では障害厚生年金のみの場合がある条件を満たせば障害基礎年金
遺族への保障加入状況などの要件により、遺族基礎年金と遺族厚生年金のいずれか、または両方条件を満たせば遺族基礎年金

国民年金にも、
障害基礎年金や遺族基礎年金があります。

社会保険に加入しなければ障害や遺族への保障が一切なくなるわけではありません。
厚生年金に加入している場合は、
要件に応じて障害厚生年金や遺族厚生年金の対象になる可能性がある、
という違いです。

また、出産育児一時金は、
勤務先の健康保険と国民健康保険のどちらにもあります。
出産のため仕事を休んだ本人への所得保障である「出産手当金」とは別の制度です。

傷病手当金は、
業務外の病気やけがで仕事を休み、支給条件を満たした場合、
待期期間のあとから通算1年6か月まで、
おおむね給与の3分の2が支給される制度です。

障害年金と遺族年金の詳しい条件は、
日本年金機構の「障害年金」と「遺族年金」で確認できます。
その他の保障内容は、
日本年金機構の「パート・アルバイトの皆さまへ、配偶者の扶養の範囲内でお勤めの皆さまへ」で確認できます。

求人・面接・入職前に確認すること

求人を探すとき

  • 求人票に「社会保険完備」と記載されているか
  • パートも社会保険の加入対象としているか
  • 週の所定労働時間は何時間になるか
  • 1か月の所定労働日数は何日になるか
  • 想定している勤務条件で加入対象になるか
  • 試用期間中の社会保険の扱いが書かれているか

求人票だけで分からない場合は、応募前に採用担当者や転職エージェントへ確認します。

面接で確認するとき

「社会保険には入れますか」とだけ聞くのではなく、
具体的な勤務条件を伝えて確認します。

たとえば、
次のように聞くと条件が伝わりやすくなります。

「週3日・1日8時間、週24時間で勤務する場合、入職時から健康保険と厚生年金保険の加入対象になるという認識でよいでしょうか。」

試用期間中でも、報酬が支払われ、
加入条件を満たす場合は原則として入職時から加入対象です。
資格取得予定日を書面で確認します。

入職前に書面で確認するとき

  • 週の所定労働時間
  • 1か月の所定労働日数
  • 雇用契約の期間と更新の有無
  • 賃金と各種手当
  • 健康保険の加入
  • 厚生年金保険の加入
  • 社会保険の資格取得予定日
  • 試用期間中の取り扱い

面接で聞いた内容と労働条件通知書や雇用契約書の内容が異なる場合は、
入職前に確認します。

口頭での説明だけにせず、
最終的な勤務条件を書面で残しておくことが大切です。

まとめ

パート薬剤師でも、
条件を満たせば勤務先の健康保険と厚生年金保険の加入対象になります。

加入するルートは、次の2つです。

  1. 通常の労働者の4分の3以上働く
  2. 4分の3未満でも、短時間労働者としての加入条件を満たす

短時間労働者として加入する場合は、
2026年8月時点では、
以下の5点について確認する必要があります。

  • 週の所定労働時間
  • 所定内賃金
  • 学生かどうか
  • 雇用期間の見込み
  • 予定している勤務条件で加入対象になるか(勤務先に確認)

社会保険への加入を前提に求人を探す場合は、
勤務日数と勤務時間を具体的に伝え、
面接時と入職前の書面の両方で確認しておくと安心です。

制度は今後も段階的に変わる予定です。
実際に求人へ応募するときは、
最新の公式情報と勤務先への確認をもとに判断してください。

私は転職エージェントの利用を検討せずに転職活動をしたため、
社会保険について自力で調べ、入職先へ確認しました。
時間に余裕のない方は、
エージェントを利用すれば、
求人ごとの条件確認にかかる負担を減らせると思います。

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