薬剤師として働いていると、
人間関係の影響を強く受けることがあります。
仕事そのものが嫌いになったわけではないのに、
職場の空気や人間関係によって、
少しずつ仕事が重く感じられることがあります。
ただ、
人間関係が理由でつらいと感じていても、
それをそのまま口にするのは難しいです。
「人間関係くらいで」
「どこに行っても同じ」
「自分の受け止め方が弱いだけでは」
そう思われそうで、
自分の中に押し込めてしまうこともあります。
私自身も、
働く中で人間関係に消耗していた時期がありました。
最初から特定の誰かを苦手だと思っていたわけではありません。
むしろ、
はじめは尊敬していた相手とうまく噛み合わなくなり、
少しずつ仕事そのものが苦しくなっていった感覚がありました。
この記事は、転職の成功談ではありません。
転職サービスを使った体験談でもありません。
また、特定の職場や個人について書くことが目的でもありません。
個人や職場が特定されないように、
時期や状況、人物像の細部は一部ぼかしたり、
再構成したりしています。
この記事では、
薬剤師として働く中で人間関係がつらくなったとき、
それを自分の弱さだけで片づけなくてもいいのではないか、
ということについて整理してみます。
仕事の出来不出来は努力次第だと思っていた
以前の私は、仕事でうまくいかないことがあると、
「努力次第でなんとかなる」
と考えることが多かったです。
同時に、他者からの評価を気にしやすく、
「なるべく早く仕事を覚えて役に立ちたい」
という気持ちも強かったと思います。
小さなミスをすると、
「またやってしまった」
と必要以上に落ち込みました。
薬剤師の仕事は人の命に関わるため、
ミスを軽く考えることはできません。
ただ、
ミスをしないように気をつける気持ちが強くなりすぎると、
今度は仕事そのものが怖くなっていくことがあります。
不安を払拭するための確認が多くなると、
余計に体力を消耗し、
だんだん余裕がなくなっていきます。
当時の私は、
仕事がつらい原因を、
自分の努力不足や能力不足の中にばかり探していました。
でも今振り返ると、
それだけではなかったのだと思います。
少しずつ、人間関係が仕事そのものを難しくしていった
人間関係のしんどさは、
急に大きくなるとは限りません。
最初は、
小さな違和感くらいのこともあります。
少し言い方が強く感じる。
聞きたいことがあっても、
声をかけるタイミングに迷う。
相手の機嫌や反応を、
必要以上に読もうとしてしまう。
ひとつひとつは、
そこまで大きな出来事ではないのかもしれません。
でも、
それが毎日のように積み重なると、
仕事中の緊張感はかなり強くなります。
私にも、そういう時期がありました。
はじめは、
相手の考え方にも筋が通っている部分があると思っていました。
だからこそ、
「自分の受け止め方の問題なのかもしれない、
相手を信じてもっと前向きに受け止めよう」
と考えようとしていました。
ただ、
接する時間が増えるにつれて、
少しずつ苦手意識が強くなっていきました。
わからないことを聞きたい。
でも、
必要以上に否定的な反応までは受け取りたくない。
そういう状態になると、
質問や相談そのものに余計なエネルギーが必要になります。
本来なら、
わからないことを確認するだけでいいはずです。
でも実際には、
「また感情的な言葉を言われるのではないか」
「嫌な雰囲気になりそうだな」
と、質問する前から頭の中でいろいろ考えてしまう。
その結果、
必要な確認まで重くなっていきます。
内容そのものよりも、
誰に聞くか、どのタイミングで聞くか、
に神経を使ってしまう。
そうなると、仕事の難しさは、
業務内容だけではなくなります。
人間関係の緊張が、
仕事そのものを難しくしていくのだと思います。
確認ばかりしているのに、不安は減らなかった
人間関係で悩んでいると、
ミスへの不安も強くなります。
つまらないミスは絶対にしたくない。
また何か言われたくない。
そう思うほど、確認作業は増えていきます。
もちろん、確認すること自体は大切です。
薬剤師の仕事では、正確さが最優先だからです。
ただ、
必要な確認と、不安を打ち消すための確認は、
少し違うのかもしれません。
不安が強いと、
確認しても確認しても安心できないことがあります。
私自身、悩んでいた時期には気づきませんでしたが、
人間関係が原因の不安に対して、
業務の確認作業で対処しているようなもので、
あまり意味がないのかもしれません。
そのうえ、こうした心理状態では、
集中しようとしても、
職場の空気や人間関係に注意を取られています。
それでは、仕事そのものに使える注意が減ってしまいます。
だから、確認作業の精度が落ち、
不安がより強くなっていく可能性すらあります。
仕事ができないから苦しい、というだけではなく、
苦しい状態だから仕事がうまく回らなくなる。
あの時の自分には、
そういう面もあったのだと思います。
仕事が終わっても、気持ちが休まらなかった
人間関係のしんどさは、
勤務中だけで終わるとは限りません。
仕事が終わっても、
気持ちが切り替わらないことがあります。
帰り道に、仕事中のことを思い出す。
家に帰っても、緊張が抜けない。
好きなことをしていても、
ふと嫌だった場面が浮かんでくる。
休んでいるはずなのに、
頭の中ではまだ職場にいるような感じがする。
そういう状態が続くと、
休み方がわからなくなっていきます。
私にも、仕事が終わっているのに、
気持ちだけがなかなか帰ってこないような時期がありました。
頭も体も疲れているはずなのに、
寝つきが悪い。
明日のことを考えると、
気持ちが重くなる。
そういう夜が続くと、
翌日の仕事にも影響します。
疲れが残ったまま働く。
集中しづらくなる。
さらにミスが怖くなる。
そしてまた、仕事が終わっても休まらない。
その繰り返しになることがあります。
人間関係の負担は、
ただ「その人が苦手」というだけでは終わりません。
仕事中の集中力にも影響します。
帰宅後の回復にも影響します。
睡眠にも、翌日の余裕にも関わってきます。
だから、
人間関係で消耗していることを、
軽く見なくてもいいと思います。
「人間関係くらいで」と片づけるには、
生活全体への影響が大きいことがあるからです。
人間関係だけが原因とは言い切れない
ただ、
こういう話を書くときに気をつけたいのは、
すべてを相手や環境のせいにしすぎないことだと思っています。
私自身にも、
人の反応を気にしすぎるところがあります。
目上の人や、苦手意識のある人に対しては、
特にそうでした。
同じ内容のことを言われても、
口調が強かったり、直前に大きな物音がしたりすると、
「怒っているのかもしれない」
「自分が何かまずいことをしたのかもしれない」
と身構えてしまうことがありました。
実際には、
そこまで深い意味はなかったのかもしれません。
相手に悪気がなかった場面もあったと思います。
私が必要以上に強く受け取っていた部分も、
たぶんありました。
だから、
人間関係だけが原因だったとは思っていません。
自分の受け止め方や、
緊張しやすさも関係していたと思います。
ただ、それでも、
「自分だけが悪かった」
とも思いません。
人間関係は、
どちらか一方だけで決まるものではないからです。
- 相手の言い方
- 職場の忙しさ
- 質問しやすい空気があるか
- 自分の緊張しやすさ
- ミスへの不安
- 周囲の余裕
そういうものが重なって、
働きやすさや働きにくさが生まれるのだと思います。
だから、
うまくいかない原因をすべて自分の中にだけ探す必要はないのかもしれません。
環境との相性で、仕事の重さは変わる
仕事には、
どこに行っても大変な部分があります。
薬剤師の仕事であれば、
正確性の確保、責任の重さ、患者さんへの対応、他職種とのやり取りなど、
負担を感じる場面は少なくありません。
だから、
環境が変わればすべて楽になる、
とは言えないと思います。
仕事は仕事なので、疲れる日はあります。
行きたくない日もあります。
頼まれごとが重なって、
しんどいと感じる日もあります。
でも、それでも、
人間関係による強い緊張があるかどうかで、
仕事の重さはかなり変わると思います。
- 同じように忙しくても、質問しやすい空気がある。
- わからないことを確認しても、必要以上に萎縮しなくていい。
- 人の機嫌を読み続けなくても、目の前の仕事に戻れる。
- 仕事が終わったあと、気持ちまで職場に置き去りにならない。
そういう環境であれば、
仕事は「大変だけど、なんとかできるもの」に戻ることがあります。
ただ面倒な仕事。
ただ疲れる仕事。
ただ忙しい日。
そう感じられるだけでも、かなり違います。
人間関係で消耗していると、
仕事はただの仕事ではなくなります。
出勤前から重くなる。
勤務中も緊張する。
帰ってからも頭に残る。
休んでも気持ちが切り替わりにくくなる。
その状態が続くと、
仕事そのものへの自信まで削られていきます。
だから、もし今、
「仕事がつらい」
「薬剤師に向いていないのかもしれない」
「自分の努力不足なのかもしれない」
と感じているなら、
人間関係や環境との相性も一度見直してみてもいいと思います。
本当に仕事そのものがつらいのか。
それとも、
職場の空気や人間関係によって、
仕事が必要以上に重くなっているのか。
そこを分けて考えるだけでも、
少し見え方が変わるかもしれません。
まとめ
人間関係が理由で仕事がつらいとき、
それを自分の弱さだけで片づけなくてもいいと思います。
もちろん、
自分に原因がまったくないとは言えません。
でも、
働く環境によって自分の出せる力はかなり変わります。
- 誰かの存在を意識し続けて、質問しにくくなる。
- 確認ばかりしているのに、不安が減らない。
- 仕事が終わっても気持ちが休まらない。
- 寝つきが悪い日が続く。
- 人間関係の緊張で、仕事そのものまで重く感じる。
そういう状態が続いているなら、
自分だけを責めなくてもいいのかもしれません。
仕事がつらい理由は、
自分の弱さだけではなく、
環境との相性の中にあることもあります。
すぐに転職や退職を決める必要はありません。
ただ、
「これは本当に仕事そのものの問題なのか」
「人間関係で、必要以上に消耗していないか」
「休んでも気持ちが切り替わらないほど、気を張り続けていないか」
そうやって、
自分の状態を少し整理してみてもいいと思います。
人間関係のつらさは、目に見えにくいです。
でも、目に見えにくいからといって、
軽いわけではありません。
自分を責める前に、まずは少しだけ、
自分が置かれている環境との相性を見直してみてもいいのだと思います。
関連記事
薬剤師が「辞めたい」と感じるのは甘えではないと思う、という話も別の記事で書いています。
関連記事:薬剤師が「辞めたい」と感じるのは甘えではないと思う
また、「薬剤師に向いてない」と感じる背景については、マルチタスクや人間関係、職場環境との相性という視点から、こちらの記事でも整理しています。
